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コラム「健康」

大腸憩室炎について

2020年10月31日
   今回は大腸憩室炎という病気について解説致します。

 加齢とともに、大腸の壁に大きさ1cm前後の小さな袋が複数(たくさん)できる病気があります。それが大腸憩室(症)という病気です。
 できた袋の数が単発であれば大腸憩室と云いますし、袋が複数有れば大腸憩室症少ない数でも痛みや発熱などの症状を伴えば大腸憩室炎と呼びます。形成される袋が概ね年齢とともに数が増える訳ですが、中には100個、200個と大小さまざまな袋が多発している方がおられます。
 
 年少時、若い時には憩室を持つ方はほぼゼロですが、70~80歳代では数割の方が持っていると言われています。一旦できた袋は自然消滅することはありませんので、増加一辺倒です。
 
 但し、その袋ができる仕組みについては、便秘等による腹腔内圧上昇と関連があるのではないかと推察されているものの、未だはっきりとした要因は挙げられていません。ただ、大腸壁を貫く栄養血管周囲に袋ができると云われています。大半の方は、仮に袋ができても、通常、症状が無いままのことが殆どなのですが、中には多少のチクチク感、軽い痛みを繰り返すうちに、多発していく方もおります。
 
 そして、単に袋ができるだけならば問題ない訳なのですが、修復機能のない大腸の壁に袋ができるということは、袋の内側は壁が伸びている分だけ相当薄くなりますので脆(もろ)くなってしまいます。しかも、この部分に食物残差や便がたまり、黴菌(ばいきん)の温床となるのです。
 おそらく推測ではありますが、ずっと無症状であった憩室でも、何らかの要因(下痢や便秘による力みでの一時的腹圧上昇!?)にて、その脆い壁にごくごく小さな亀裂が生じ腸から漏れるようになって、症状が出ると思われます。漏れたわずかなばい菌が腸管周囲の局所的な炎症を起こすのだろうと思われます。
 
 局所的な炎症でもチクチク、ジクジク、重ぐるしい痛みになりますし、炎症範囲が広がって菌の毒素が全身に回り始めると発熱や強い痛みが持続的に出るようになります。ご存知のように大腸の中には膨大な数の細菌が高密度で繁殖していますので、微細な亀裂でも菌は漏れやすいのです。漏れたとしても一時的で少量でさえあれば自然と炎症は鎮静し傷も(少しの癒着の残して)治っていくはずですが、何らかの悪い条件が重なり(漏出した菌の数が多すぎたり、強力な菌が混じっていると)、病状悪化が起きて症状が強くなりますので、中には入院治療が必要と成ったり、さらに外科手術を要する場合も有りえます。憩室の裂けかけた個所が偶々周囲の血管に及ぶ場合には下血(真っ赤な便が出ること)まできたすことも有ります。さらに、頻度はかなり低いのですが、憩室の先が膀胱であったため、膀胱壁を貫いて大腸膀胱瘻を形成することさえあり得ると言われています。(排尿してたら、いつのまにか排便していたということがありうるのです。)
 診察やCT断層検査等で診断がついたら、抗菌剤や抗生剤の内服、点滴と絶食で治療をしますが、基本は入院して対処することが望ましいでしょう。通常は手術はせず、保存的、内科的に治療をします。しかしながら、再発や下血を繰り返す方の場合は、予防的に憩室の多発している大腸を部分的に切除することもあります。
 
 健診で胃バリウム検査を受けられる方については、大腸憩室炎の既往がある場合、慎重な対応が必要です。
 半年以上再発がなく無症状で既に鎮静していると思われる方は検査を受けられても大丈夫(状況によりバリウム減量をする場合もあります)ですが、憩室炎になって数か月、あるいは症状不安定という方は胃バリウム検査をお断りさせて頂くことがあります。鎮静化している方でも、トイレでりきむことがないよう、検査後すぐに水を沢山飲み、指示された下剤はきちんと内服されるようお願いします。

 
 


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