医療と人工知能について

2018年10月15日

先日 わたくしは、日本消化器病学会、日本消化器内内視鏡学会の合同北海道支部例会(=通称名:地方会)に出席致しました。その地方会のランチョンセミナーにて、講師からお聞きした話題を一つ、この場で提供致します。
今年2月より某社から既に販売が開始されている新型内視鏡、大腸カメラのお話です。

特殊機能を備えた最新鋭の内視鏡なのですが、大腸カメラの検査とは、一旦、深部大腸、すなわち盲腸まで挿入したカメラを徐々に抜去をしながら、大腸粘膜面を観察し、ポリープやがんなどの病変が隠れていないか、目視確認をしていく検査です。

検査中に、もし気になる怪しい(紛らわしい)病変があれば、必要に応じて生検鉗子という小道具を用いてその病変の「一部」をつまんで切り取り標本を採取し、顕微鏡判定を専門に行っている病理センターへその検体を送り出し詳細に調べてもらうという手順が大腸カメラの標準と成っています。
その病理学的検査の工程としては、標本をフォルマリン固定し薄く切片を作り様々な染色液で色を染め仕上がったプレパラートを顕微鏡で拡大観察して細胞の悪性度判定を行います。病変ががんなのか、癌でない(=前がん病変や炎症)のかを確認していく訳です。

ところが、その新内視鏡では なんと人工知能が搭載されておりまして 病変がありますと自動でそれを検出し警告音と画像上の矢印で、「ここにポリープ( or 陥凹型病変)があります。」と音と映像で検査担当者に(複数病変があれば繰り返し何度でも)教えてくれるのです。(機能1:病変の検出) つまり初心者の内視鏡医師でも挿入さえ出来れば、ほぼ見逃しなく観察ができるという夢のような代物なのです。

しかも、その新大腸カメラは、拡大内視鏡機能、顕微鏡相当の機能を持っており、標準で500倍拡大、最大で1000倍までの拡大が可能なのです。また、色素をカメラ担当医が病変表面に散布せねばならないのですが、染め上がる時間をしばし待って、スイッチを押して病変を拡大観察しますと、自動でその病変が がんなのか、がんでないのかを高精度でかつ短時間で自動判定してくれるのです。(機能2:病変の悪性度評価)

こうした工程が一病変当たり2分前後かかるそうですが、通常の病理センターへ検体を提出する場合(現在の通常手順・標準工程では最終的病理判定結果が戻るまで平均7日かかります。新大腸カメラではその場で2分余りで結果が出るという優れものでなのす。

しかも拡大内視鏡でのピットパターン分析によって病変の悪性度判定のみならず、それが浅い病変なのか深い病変なのかまで評価可能なのです。つまり、病変が内視鏡的に粘膜切除術が可能なものなのか否か迄自動評価可能なのです。(機能3:深達度診断)

もちろん、当面はこうした機能はあくまでも補助であり検査の主体は医師であり人間でしょう。

尚、西欧で現在進行中の大腸内視鏡自動深部挿入機能の研究が終了・完成される日が来た場合には、上記の自動判定機能とそれがハイブリッドされ現場に提供される時が来るのかもしれないと勝手ながら私は想像をしている処です。

以上のことより推測できることですが、最近の将棋や囲碁のソフトのように、AIが人間の能力をほぼ完全に凌駕する性能に到達する時代が数年後訪れるのかもしれません。それも大腸内視鏡検査のみに限らず、画像診断や恐らくは臨床診断の領域にも及ぶことでしょう。