健康診査の検査中止について

2021年02月03日
   今回のコラムでは、健康診査の検査を中止する場合についてお話をさせて頂きます。

 
 予約の時点で健康診査の検査項目を追加なり中止なり取捨選択することは可能ですが、診察(理学所見と専門的には呼びます)だけは省けません。
 診察(理学所見)は基本中の基本検査項目ですので、この大原則は是非覚えておかれるようお願いします。
 
 健診当日になってから、現在、妊娠が判明、もしくは妊娠の可能性が否定できないと推定される場合には、躊躇(ちゅうちょ)なくお申し出ください。
 胸部X線検査、胃バリウム検査、乳腺X線検査などレントゲン被ばくを伴うものは中止させて頂きます。もちろん、心電図、腹部超音波、眼底検査は被ばくを伴わないものついては通常通り実施可能です。
 さらに、もし仮に妊娠していなかったと、その後判明した際には、後日検査実施も可能ですので、その旨を担当者に当日お申し出下さい。お電話などでも後日検査についてご相談が可能です。
 
 尚、赤ちゃんへの授乳中の方についてはレントゲン検査中止の必要性はありません。放射線は、瞬間的、一時的なものですので(つまり放射能ではありませんので)、乳汁には全く影響がありません。よって、授乳によって乳幼児を被ばくさせる事はありませんので、ご安心の上、検査をお受けください。(但し、胃カメラの場合、授乳中の方は使用する薬を選ぶ場合があります。)
 
 一般的に表現しますと、妊娠に限らず、受診者サイドより特定の検査中止の要望があった場合、特段の理由がない限り受け入れておりますが、健保組合や事業所からの様々な指定・制限がありますので、中には中止ができない場合もございます。よって、すべての検査が必ずしも中止できるという訳ではありません。
 さらには検査中止による支払の追加が発生する場合も有りますので、適宜、受付担当者にご確認下さい。     

 女性に限らず、男性の方も、胸部X線を近所のクリニックでつい先月撮影したばかりで何も異常は無かったという状況では、レントゲン撮影中止を受け入れます。(しかし、例えば、半年前の撮影ではお断りさせて頂きます。)胃バリウム検査も、つい先月に胃カメラ受けたばかりで異常は無かったので、と言われれば、中止の要望を受け入れます。

 但し、どの検査にもかかわらず、「その検査を受けるのは面倒なので中止したい」という方が稀におられますが、それでは中止への理由として不適格であり、正当な事由には該当しないものと理解しております。と言いますのも、検査しないでおいて後日、症状が出たため病院を受診したら、検査でがん等重篤な病気が見つかるということも有り得るのです。ご存知のように、ガンは無症状のまま潜在的に進行していく病気であり、「元気で無症状=健康」とは必ずしも限らない、ということなのです。
 つまり、検査を受けることを嫌がって中止にしたら、後日がんが見つかり発見が遅れ治療も遅れ、病気がかなり進行していたというリスクは常にあるものとご理解頂くことが大事です。勿論、がん以外でも発見・対処が遅れると取り返しがつかない病気もありますので、どの検査であっても、中止への正当な理由がない限り、受診者の皆様は、基本、予定された全ての検査をきちんと受けるべきものと考えております。

 次に受診者サイドからの検査中止ではなく、施設側判断にて検査を中止する場合について記述いたします。
 胃カメラや胃バリウム検査では、検査を急に中止とさせていただく場合があります。
 血圧が高すぎる場合等には胃カメラを、高度便秘症が続いている場合には胃バリウム検査を中止することがあります。受診者の皆さんを脅かすわけではありませんが、実は、日本全国レベルで見ますと、胃カメラ後にくも膜下出血をきたしてしまい、不幸にして死亡される方も頻度は低いながらもおられます。胃カメラを受けるとそれだけで血圧は検査最中に極端に上昇します。血圧の急上昇で、血管の脆弱な個所が破け、くも膜下出血(脳出血)が発症します。
 基礎疾患のない方でもお通じが遠くなりやすいバリウム検査でも、中には腸閉塞症を来してしまい処置や入院が必要になる方もおられます。
 健診は、基本(救命を目指す)治療ではありませんので、あくまでも検査ですので、無理をしないことが大原則です。健診担当医師には、検査全般を安全に実施する大きな責任を担っていますので、受診者の状況に応じ、医学的専門家の判断として検査を中止とさせる権限(強制)を有しています。いわゆるドクターストップです。この件についても受診者の皆様には是非ともご理解をお願い申し上げます。
 
 以上、検査中止にかかわる事柄をお話しさせて頂きましたが、
 受診者皆様が安心して安全に検査が受けられる一助になれば幸いと存じます。

まとめ
(1) 診察は中止できない
(2) 妊娠の可能性がある場合には、担当者に必ずお申し出ください。
(3) 授乳中の方はレントゲン被ばくしても影響はありませんので心配有りません。
(4) 診察以外の検査について中止要望を基本、受け付け致しますが、正当で的確な理由が必要です。さらに検査中止によるデメリットも有りえますので、安易な検査中止は避けるようお願い致します。
(5) 医学的判断で検査を施設側で強制中止とする場合が有ります。
(6) 最後の検査等を後日実施にすることで却って利便性が図れる場合もあります。
(7) 期限ぎりぎり、転居直前の健康診査はなるべくは避けるべきと考えています。